記念コンサートが、無事成功裡に終わりました。
お運びくださいましたみなさん、ありがとうございました。
ご支援いただいた、弘前市をはじめ、
たくさんの方々に、心から感謝しお礼申し上げます。
詳細は上部「主催イベント」の
未来コンサートと作曲コンクールのところをご覧ください。
序破急計画
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教団ビル60階。
ゆったりと立ちこめている紫色の霧が、時々光を増減させ、脈動している。
「X計画進行中。太平洋入水者、各国合計848名」
コンピュータの声が聞こえる。
「日本での入水希望者全員終了」
(予定どうりだな)
どこからともなく思念が伝わってきた。
(一般への影響については、配慮してあるのですか。
内閣調査室が動いているということですが)
(それは、民友党の太田黒を通じて、すべて押さえてあります)
(家族や関係者のほうは?)
(全員にサイココントロールがなされ、
表面にでることのないように、十分に手は打ってあります)
彼らはいったい何者なのだろう。
その影さえも見えない。
思念が飛ぶ時だけ、紫色の霧が脈動する。
「あの男、秋山とか言ったわね。だいぶやるって話じゃないの」
女が初めて声を出した。
同時にそのあたりの霧が後退し、
身体に2,3枚の布きれしかつけていない女の姿が現れる。
濃厚な色気が発散されると、
一度後退した霧が集まってきて、彼女の身体に触れ光を明滅させる。
「ウム。最初の赤(レッド)クラスで失敗したものの、
その後の発達はめざましいものがある。
この短期間に緑(グリーン)クラスまで上がるとは異例のスピードぶりだ」
「3月下旬にX計画に参加させて潮岬にやりましたが、
最初にしては上出来でしょう」
「かなりの潜在力があると聞いていましたが、
さすが、お目が高いですね。得意とするものは何ですか」
「まだ十分とは言えませんが、集団催眠に優れたものをもっています」
みんなが肉声で話し始めると、霧が後退し、
やがて4人は一カ所に集まってきた。
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「で、例の彼女とはどうなんだ?」
「それが、結婚したんです」
「ほう。なにもこの時期に結婚しなくてもいいだろうに・・・」
「緑(グリーン)クラスともなれば、
今後のことが、うすうす見えていたはずだよねぇ」
「恋は盲目というからなぁ」
「その言葉は、いつか聞いたことがありましたね」
(ところで、人材発掘のほうは、どうなっているのか、データをだしてくれ)
NO1が無言で指示した。
「X計画進行中。有能な人材19名発見、13名獲得」
コンピュータが答える。
(フム、まあまあか)
(緑(グリーン)クラス以上に上がれるような人材は、
そんなにたくさんいるわけがありません)
(秋山が第1号ってわけね)
(いや、彼はその前に私が偶然見つけたんだ。
彼なら青(ブルー)クラスもクリアーするだろう)
どうやら教団のX計画は2段階になっているらしい。
第1が集団自殺、第2が若年層を中心とした誘拐だ。
それは、彼らにとって必要な人材の芽を集めるのが目的である。
単に能力があるということだけではなく、
彼らと血を同じくするものを探しているのだ。
彼ら同士には、おのずから同族であることがわかり、
自分たちの故郷へ行くために、進んで集まってくるのだ。
(みんな故郷を求めているのです)
(光と水の国だわ)
(理想の世界です)
(祖国”ムー”の復活だ)
4人の思念が同時に発せられ、一点で渦巻いた。
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(そのために、団結しなければならないのだ)
「白のおかた!」
4人がさっと緊張する。
紫色の霧が四散し、純白の寛衣の男が現れる。
床の一部がせり上がって男がそれの腰を下ろすと、
4人はその周りを取り囲むように坐る。
「X計画は順調に進行しております」
一人が報告調に言う。
「分かっている。
われわれは、いよいよ次の計画にとりかからなければならない」
男は、たいして口を開いているようにも見えない。
しかし、部屋全体に声がエコーする。
「多少のトラブルはありましたが、準備は完了しております」
「海底火山の噴火を、もう少し押さえられないのかしら。
ちょっと目立ちすぎだと思いますけど」
女は先ほどとは打って変わって改まった言い方である。
「あれが限度です。これ以上押さえると、
エネルギーが中央部に集中して計画全体が崩壊してしまうでしょう」
「エルニーニョはどうなのかね」
「あれは自然発生したもので、こちらとは関係ありません。
しかしY計画の準備段階と、相乗効果を示していることは明らかです」
エルニーニョは別として、
海底火山の噴火も、彼らの意図するところであるらしい。
つまり、世界中を混乱させている、ほとんどの現象に、
彼ら”天の羽衣教団”が関係しているのだ。
「特に問題はないようだな。
それでは、本日からY計画を実施する。
以後極東におけるXYZのコードネームは”序破急の舞”と名付ける。
では、具体的な内容に移ろう・・・」
(・・・・・)
(・・・・・・・)
紫色の霧が勢いを増し。
再び、5人から言葉が失われていった。
(序破急計画8~10へ続く)