NO 222

戦い

17

その男、榊原虎之助、月刊GOO社長。
英国ロンドンに本部がある、
世界的秘密結社”GOO”の日本支部長である。
榊原によれば、睡眠は必ずしも身体全体でとる必要はないという。
今現在、直接関係のない細胞は眠らせておき、
必要に応じて覚醒させればよいのだという。
岡田の場合、その方法の一つが、
足の裏にある微妙なツボを、それぞれのパターンによって
刺激することにあったのである。

(遠隔催眠だな)
岡田の覚醒して部分が感じ取っていた。
アジア総大使館の秋山というスポークスマンが、
記者団にかけた集団催眠も見事であったが、
テレビやラジオを使って、これだけのことができるのは、
一人の仕業ではないかも知れない。
岡田はゆっくりと新しいタバコに点火した。
みんながテレビに釘付けになっているなかで、
恂子だけが別のことを考え、
自分の方へ意識を向けているのがわかる。
この強力な遠隔催眠も覚醒した恂子には効果が及ばないようだ。
(GOOの血だ)

18

「ムッ!」
瞬間、岡田は自分の心を閉じた。
しかし、遅かった。
学生時代のことなどを考えたりして、
心が緩んだ一瞬を恂子は捉えていた。
もちろん彼女が、ずっと岡田の方に意識を向けていたからではあるが、
それは、彼女の力がより増強していることを意味していた。

(GOOの血・・・ですか)
恂子は心の中で繰り返した。
(受信だけではなく、送信も可能になってきたな)
岡田は、すかさず心の位相を変化させた。
今まで避けてきた接触を開始したのである。
(お前は本当に阿井を愛しているのか)
(ええ)
はっきりした思念が、きらめく光の和音を伴って伝わって来た。
刹那、
すでに目覚めていた岡田の超感覚が、
恂子と阿井の愛の真実を認知していた。
(でも、教団やネオムー帝国については別ですわ)
恂子の波動が岡田の深い部分に感応した。

二人の血は、ずっと昔から兄妹だったように、
温かい共鳴をおこしていた。
(それで、ともに行くのか)
すべてを許しているような岡田の心の目が、優しく恂子に注がれる。
(それはまだわかりません)
恂子から伝わってくる妙なる和音に、
かすかな揺れが生じた。

(戦い19~20へ続く) 

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