No.75

空虚5度というのがありました。
三和音の3音が抜けて、完全5度の状態になっている場合です。

冬の旅の最終曲「「辻音楽師」でピアノの左手に頻出する空虚5度が有名です。

ミューラーは「幻の太陽」で、
「3つの太陽のうち2つは沈んでしまった、いっそ3つ目も沈んでしまえ」
と書きました。

作曲した翌年旅だったシューベルトには、
3つめの太陽が沈もうとしている姿が見えていたのでしょうね。
そして空虚5度がへとつながったのでしょう。

私たちは、生まれて以来、たとえばドとソの5度のなかに、
レとかミとか、いろいろな音を入れて、
充実したものにしようと努力してきました。

でも、その音の選択に関係なく、
運命は、そこに留まる時間もふくめて、
ランダムに動いているのですね。
ファからミに進まないでミbに行ったり
ミの時間が長いと思って不遜のなかに過ごしていると、
唐突にファ#や、レbがやってくるのです。

平家物語の世界ですね。フフン!

しかし空虚5度は、中の音がいろいろさまよった後、
ドやソに重なった状態で、とても安定しています。
いわば最終目的地、
シューベルトが予感した世界。
その系におけるニルヴァーナなのですね。

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