NO 179

震災復興応援 008-1
皆様、

明けましておめでとうございます。
旧年中は、公私ともにお世話になり、
たいへんありがとうございました。
本年もご指導のほど、
宜しく、お願い申し上げます。

さて、
今年は、弘前市合唱連盟が創立60周年を迎えます。

この記念すべき年に、
奇しくも、「弘前市顕彰・ゴールド卍賞」を受賞致しました。

これまで、60年間、合唱音楽の向上と普及に寄与された、
100を超える合唱団に敬意を表しつつ、
現在、ここに立ち会えたことを喜び、
応援してくださったたくさんの方々に、
心より感謝し、お礼申し上げます。


2017年元旦

弘前市合唱連盟会長 川村」昇一郎

 


(SF小説「ムーの幻影」を、引き続きお楽しみください)

兆候(最終回)

20

「話が決まったら、あたしゃ急に腹がへってきたよ」
「どうなってんだよ、お宅の胃袋は」
山崎が立ち上がってドアの近くにある電話コーナーに行く。
怐子は、自分が”天の羽衣教団”の取材を始めた時から、
なんだか急に、今までとはちがった事件が、
立て続けに起こり始めたように思う。

特にこの集団自殺、そして海底火山の噴火。
人間の世界と自然界の両方にまたがる現象は普通ではない。
これが、”天の羽衣教団”と無関係でないとすれば、
苦しみからの解放と、人類の平和を目的とするという、
教団理念に矛盾するのではないか。
それにくわえて
今年は歴史的エルニーニョイベントになるといわれているのだ。
やはり今年は大変な年になりそうだ。
そしてその中心になるのが、”天の羽衣教団”ではないだろうか。

たしか、”予言の刻”では
それに対応するグループも動き出していると語られたが、
それは、どんな人たちなのだろう。

どうしても阿井のことが頭から離れない。
彼もまた、この一連の事件に深く関わっているのだろうか。
今までは会えなくても不安を感じたことがなかったが、いまは違う。
会って聞きたいことがたくさんあるような気がする。
怐子は、自分の中に今までにない、強い欲求が芽生えているのを感じ、
思わずペンダントを握りしめていた。

21

「そりゃーないでしょう」
山崎の大きな声に、みんなが電話コーナーを見る。
山崎はすぐに意識的に小声になり、しばらくして、席に戻ってきた。
みんなの視線が彼に集中する。
しかし山崎は冷静な声で、
海底火山の噴火から一人生き残った
曲助教授の談話がはいっていることを伝えた。

曲は今でも信じられないと語っている。
特に同乗のの四倉助手とは、4ヶ月も同じ現場で行動を共にしてきた。
こうしていても、まだ、彼がすぐそばにいるような気がすると語ったという。

「それから最後にな」
山崎は声をおとした。
「これは個人的な見解だとことわってな、
この海底火山噴火は、今後もつずくのではないかと言ったそうだ」
(曲っていう人は、すごく運ののいい人ね。
なんだかその予想も当たるような気がするわ)
怐子の不安は募るばかりであった。

「ところでな」
山崎が写真をポケットにしまいながらみんなの顔を見た。
「ドクターストップだ」
「えっ、なんだって」
「せっかく苦労してもらって悪いんだが、
集団自殺の件は、これ以上追わないことになった」

その時、
ドアのそばのボックスで週刊誌を読んでいた客が腰を上げた。

(兆候終わり。次回、覚醒1~2へ続く)

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