NO 233

戦い

44

ネオムー帝国の6っの総大使館ビル内に進入したGOOのメンバーは、
教団始まって以来のダメージを与えた。
アジア総大使館では、ヴァイオレットクラスNO4を失い、
その時点で彼に精神連動していたブルークラス4人と、
グリーンクラス16人が廃人となった。
古代ムーに翔んでいたNO2の阿井は別として、
急を察知して帰還したNO1の応援がなければ、
NO3の妖艶な姿も、二度と見ることはできなかったであろう。
ネオムー側は自重し、ガードを固めた。

そして、
10億人の人口減を目指す帝国の”破の舞”は、
いよいよその最終段階に突入した。
大量の火山灰によって、どんよりとした空に、太陽光は弱められ、
地球は徐々に気温を下げ始めた。
鉛色の重い雲が、これから冬に向かおうとするかのように、
4月10日を過ぎた東京に雪を降らせた。
ニューヨークは有史以来なかった直下型地震によって壊滅し、
モスクワでは、クレムリンが陥没した。
ロンドンには、高波が襲い、
パリは大竜巻の洗礼をを受けた。

自然現象をコントロールし、
兵器として使用するネオムー帝国の世界蹂躙に、
国連は再び崩壊し、世界は、なすすべもなく1億3000万人を失った。
各地の総大使館ビル前に集まった群衆は、前にも増して熱狂し、
街には「ネオムー、ネオムー」の声が広がっていった。

破の舞は、それだけにとどまらなかった。
4月20日、厚い雲に覆われて、冷却していく地球に
とどめを刺すかのように、
残っていた環太平洋火山帯をはじめとする、
同盟側の山々が一斉に火を噴き上げた。
中でも1980年に北側400メートルを吹き飛ばされた、
アメリカのセントヘレンズは、
今回さらに南側が、大きく山体崩壊し、中央部に低い丘だけが残った。
日本では雌阿寒岳、駒ヶ岳、浅間山、三原山、雲仙、阿蘇山、桜島と、
次々に噴煙をあげ、
ネオムー同盟国として、特に対策を講じることもなく、
楽観視していた太田黒内閣は、
民友党結党以来、最大の危機を迎えたのである。

45

フィリピンでは、タールのほか、
ピナツボ、マヨン・ヒポックヒポック、アウ、ソプタンが間を置かず噴火し、
太平洋岸の近海では、大きな地震が発生した。

「データを出してくれ」
アジア総大使館のNO1が言った。
「フィリピン沖、ケープジョンソン海淵と、エムデン海淵で、地震発生。
前者マグニチュード8.0、後者8.5」
コンピュータが答える。
(おかしいな・・・)
No1が首をひねった。
この地震は帝国の破の舞には関係ないものであった。
そして、その日4月22日から、太平洋全域にわたって、
呪文を唱えるような低い音が響きはじめ、日ごとに音量を増していった。
不気味な海鳴りは、4月30日に至って、
世界中のテレビやラジオなどに感応しだした。
発信源はビチアス海淵、海面下11034メートルであった。

<やはり#b”””~が出ますか。Kさん>
空間の深淵に畏怖の念が漂った。
<教団の破の舞は完璧でしたからね>
<何度同じことが繰り返されるのでしょうか>
<それぞれ原因を異にしていますからね>
<最初の時から、もう35億年になります>
<私たちは予言をしても、実際に手を下すことはできませんからね>
空間の深淵に”観察者”Kと
”記録者”Sの穏やかな波動が拡散していった。

いは終了、次章、出発(旅立ち)へ続く)

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